PETサマーセミナーと本会の生い立ち
PETサマーセミナーはもともと「サイクロトロン夏の学校」といい、1979年から毎年夏にPETにかかわる人たちが集まる会として開催されてきました。学会ではないため全国のPET施設が持ち回りで開催し、長い間母体となる組織がありませんでした。1996年より、運営を円滑に行いかつ全国のPET施設の意見を反映させるために、大会主催者を運営委員長とする運営委員会を設けました。2005年8月に、これを発展させて、母体組織としての各PET施設を代表する施設代表会員を正会員とするPETサマーセミナー協議会を発足させました。
この間PETを取り巻く環境は劇的に変わりました。PETはもともと研究者が始めた技術で、装置や方法も特殊なものであり、1990年代前半までは研究機関において研究に用いられていただけでした。ところが、その後、がん、脳、心臓の診療に役立つことがわかり、装置も便利になって次第に一般の医療機関に導入され、とくに2002年にFDGが医療保険の適用となってからは急速に普及して、今ではがんの診療に無くてはならないものになりました。研究利用も「分子イメージング」という言葉が作られて、創薬など新しい応用が開かれました。
PETサマーセミナーは昔からPETをメインテーマとするわが国最大の学術集会でしたが、このように状況が変化するに及んで、それまでの有志による集会という形では社会的責任を全うすることが困難になり、学会の形をとる必要に迫られるに至りました。一方、わが国のPETがこのような生い立ちを持つことを反映し、PETに関係する組織としても、日本核医学会のほかに臨床PET推進会議や日本アイソトープ協会など、いくつかの団体がPETを扱う委員会などを設立して独自に活動し、それらの相互調整が必要になりました。そこで、PETサマーセミナーの母体組織であるPETサマーセミナー協議会を日本核医学会の分科会と位置づけることによって、学会の権威と責任を持つ一方、身軽である点を活かしてこれらの諸団体の相互調整を図ることになりました。
このようにして、2007年8月にPETサマーセミナー協議会が発展的に解消して日本核医学会PET核医学分科会が誕生しました。